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Please use this identifier to cite or link to this item: http://hdl.handle.net/10561/1690

Title: ディアスポラの軌跡~ハンセン病家族訴訟~
Other Titles: Diaspora trajectory-Hansen's disease family lawsuit-
Author: 井上, 佳子
Author's alias: INOUE, Keiko
Issue Date: 31-Oct-2019
Publisher: 長崎県立大学
Shimei: 学長裁量研究成果報告書
Volume: 平成31年度
Issue: シーボルト校
Start page: 1
End page: 3
Abstract: もともとギリシャ語で、土地を追われ続けるユダヤ人を意味する「ディアスポラ」。ディアスポラからは、世界の矛盾だけでなく、抑圧される側の逞しさやしたたかさ、強さなど人間そのものの姿も見えてくる。 本稿では、このディアスポラを「抗えない大きな力によって故郷を追われ人生の変更を余儀なくされた人たち」と広義に捉えハンセン病元患者やその家族を考察することにした。2016年2月に提起されたハンセン病家族訴訟の原告団長、林力は父親がハンセン病であったことで幼い頃から差別にあい、貧困の中で成長した。教師になった林は同和教育に没頭する。背景には、同じ「差別」の中を生きるものとして、差別への怒り、そして被差別者への共感があった。やがて林の中に、抑圧されても強く生きる人たちに対する尊敬の念が生まれていく。そして親がハンセン病であったことを社会に告白し、単身、差別する社会を問う活動を始めるのである。林の思考は、教育の本質を問い、更に差別や偏見を放置してきた社会を問う活動に広がっていく。林の多くの著作をもとに、彼の人生の軌跡を追い、ハンセン病の家族であることが彼の人生をどう決定づけたのかつぶさに追うことができた。マスメディアでは、彼らの「負の側面」を強調しがちであるが、このような「人間が本来持つ力」について知ることも大切ではないかと思う。ディアスポラを「抗えない大きな力によって故郷を追われ、人生の変更を余儀なくされた人たち」とするならば、水俣病への偏見で故郷を離れた人もいるし、東日本大震災の原子力発電所の事故で福島を出ざるを得なかった人たちもいる。効率を追求してやまない世界で、いつ誰が、ディアスポラになるかわからない世の中であるならばなおさらのことである。
Keywords: ハンセン病
家族訴訟
差別
URI: http://hdl.handle.net/10561/1690
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